「受賞」中村梢絵さん(大学院生)华人策略论坛,华人策略网站5年度修士論文発表会優秀賞
中村梢絵さん(馮研究室、大学院生)が华人策略论坛,华人策略网站5年度修士論文発表会において優秀賞を受賞しました。
修士論文題目:層状チタン酸ナノシートを用いた逆浸透膜の作製と性能評価
論文の概要:
近年、世界人口の急激な増加や都市化による水の需要の高まり、異常気象などによって世界の水不足が問題となっており、2050年には世界人口の約半数が水不足の影響を受けると言われています。このような背景の中で海水淡水化技術が注目されており、逆浸透膜を使用した方法は従来の蒸発法等と比較して安価でエネルギー消費が少ないというメリットを保有します。通常半透膜という水分子が通過することができる膜で塩水と純水を区切ると純水側の水分子が濃度を同じにしようと塩水側に流れます。この時に生じる圧力が浸透圧と呼ばれます。逆に、塩水側に浸透圧以上の圧力をかけると塩水側の水分子が純水側に移動し、純水を得ることができます。この原理を逆浸透といい、この手法を用いることで海水から淡水を得ることができます。本研究ではこの逆浸透膜である半透膜について研究をしています。
現在逆浸透膜は有機高分子系のものが主流ですが、これは膜厚が厚くいため、消費エネルギー量が多く、使用できる条件が限られているといった問題があります。これらの問題を解決するために、本研究では層状チタン酸ナノシートという無機系材料を用いた、膜厚が薄く、幅広い条件で使用が可能な逆浸透膜を開発することを目的としています。作製した層状チタン酸ナノシート膜を使用して脱塩実験を行ったところ、NaCl阻止率は10%程度に到達し、低くはありますが、本研究で開発した新規無機系逆浸透膜として有望であることが示唆されました。
本人コメント:
学部と修士の約3年半かけて行った研究をまとめた発表で優秀賞を受賞することができ、誠に光栄に思います。私は人々の役に立つ研究をしたいと思い、本研究を進めておりました。世界には水不足で悩む人が多くいる現状で、実際に使用されるようになるまでにはまだまだ時間はかかりますが、この層状チタン酸ナノシートを用いた逆浸透膜が実用化されることによって世界中の人々の生活や命を救うことができると考えております。実験はうまくいかないことの方が多く、くじけそうになるときもありましたが、このような賞を頂けて非常に嬉しく思います。今回の受賞を励みに、今後も人々の役に立てるよう日々精進してまいりたいと思います。
(2024年3月、なかむらこずえ)
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