総合生命科学実験センター糖鎖機能解析研究部門(香川県)の技術シーズを活用して、増田化学工業(株)(本社:高松市)が、ヒト型標準糖鎖の製造販売を開始することになりました。
これまで、糖鎖の総合研究が新たな開発領域として注目されていたにもかかわらず、標準糖鎖の供給が少量生産かつ高価であったため、糖鎖機能を活用したバイオ産業の進展を拒んできました。
今回、総合生命科学実験センター糖鎖機能解析研究部門(香川県)(平林淳客員教授、中北愼一客員助教授)が構築した糖鎖の「戦略的マテリアルマップ」や糖鎖分離技術と増田化学工業(株)の無水ヒドラジン取り扱い技術を結集させ、鶏卵などの安価な生体材料から、従来の5,000倍の規模(リッタースケール)での無水ヒドラジン分解によるヒト型糖鎖の工業的大量生産技術の開発により、低価格で供給出来ることが可能となりました。
なお、販売される糖鎖はタンパク質に結合した分岐構造を持つヒト型標準糖鎖40種程度で、これまではマイクログラムオーダーでしか製造販売されていなかったものをミリグラムオーダーで国内外の研究機関、大学、製薬会社に販売する予定です。
また、大量無水ヒドラジン分解による糖鎖の切り出しサービスも受託する予定です。
これにより、ヒト型糖鎖の低価格かつ安定的な供給が可能となることから、今後国内外の多くの研究機関や製薬会社等の研究開発が進展し、糖鎖機能を活用した診断薬や治療薬などの創出が加速されることが期待されます。
研究協力グループ(18.6.19)