香川大学医学部医学科6年生の末澤明(メイ)さん、森昭博さんが実習で指導を受け、執筆した医学論文が、2021年7月、ともに国際医学誌に掲載されました。

末澤さんは、糖尿病治療薬のDPP-4阻害薬の内服中におこった粘膜類天疱瘡という病気を世界で初めて報告しました。この薬の内服中は、皮膚に水ぶくれができる類天疱瘡という病気がおこりやすくなります。しかしながら、病気が粘膜にも出やすくなるかどうかは知られていませんでした。糖尿病の治療中に治りにくい口内炎ができ、香川大学医学部附属病院を受診した患者さんについて、久留米大学や北海道大学との共同研究で粘膜類天疱瘡と診断、薬の中止で症状が改善されました。糖尿病の治療中に粘膜に症状が出たときには注意が必要なことをThe Journal of Dermatologyという医学誌に報告し、掲載されました。

森さんは、点状紅斑という日本独特の病気の国際的な位置づけを提案し報告しました。この病気は78年前、九州大学の樋口謙太郎教授が国内で報告して以来、「樋口の点状紅斑」と呼ばれていましたが、国際的にはほとんど知られていませんでした。これまで何年もの間診断がつかずに香川大学医学部附属病院に紹介された患者さんの症状を報告し、この病気が初めて、欧州皮膚科学アカデミーの学会誌に掲載されました。

末澤さんと森さんはともに香川県出身です。今年1月に実習で3週間皮膚科学に配属となり、今回の症例を担当して指導を受けました。指導した大日輝記皮膚科学教授は「どちらも世界の教科書に載る仕事。香川での取り組みは世界につながっていることを学生に実感してほしい」と話しています。

発表論文
Suezawa et al. Dipeptidyl peptidase-4 inhibitor-associated mucous membrane pemphigoid. J Dermatol 2021.
DOI: 10.1111/1346-8138.16061

Mori et al. Erythema punctatum Higuchi: reconsidering its relationship with adrenergic urticaria and eruptive pseudoangiomatosis. J Eur Acad Dermatol Venereol 2021.
DOI: 10.1111/jdv.17474?



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