香川大学医学部皮膚科学の大日輝記教授は、京都大学や、理化学研究所との国際共同研究で、アトピー性皮膚炎の体表で大量に産生されるC10orf99ペプチドが、皮膚のバリアを低下させること、さらに炎症をおこしやすくすることを発見し、研究成果を国際学術誌に報告しました。

アトピー性皮膚炎や乾癬などの慢性の皮膚炎では、皮膚表面の「表皮」と、皮膚の免疫細胞との間に悪循環がおこって、炎症が慢性化していると考えられています。香川大学皮膚科学の大日教授、京都大学皮膚科学の椛島健治教授らの研究チームは、C10orf99というペプチドが、これらの皮膚炎で共通して、表皮の体表近くで大量に産生されることを見つけました。さらに、C10orf99ペプチドは皮膚のバリア成分の産生をへらすこと、また、C10orf99ペプチド自体が炎症をおこす作用をもつことを発見しました。
このペプチドのはたらきをおさえることで、新しい治療やスキンケアにつながる可能性がある、と大日教授は話しています。

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皮膚組織でのC10orf99ペプチドの産生の様子(茶色の色素で染色)。健康な皮膚では目立たない(左)。

画像アトピー性皮膚炎の皮膚では、体表に近い部分でC10orf99ペプチドが大量に産生される(右)。

発表論文
Dainichi et al. C10orf99/GPR15L Regulates Proinflammatory Response of Keratinocytes and Barrier Formation of the Skin. Front Immunol 2022. DOI: 10.3389/fimmu.2022.825032

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