香川大学教育学部社会科研究室 2年 ?
武川芽生さん Takekawa Mei(右)
谷本恵太さん Tanimoto Keita(中)
石尾友実さん Ishio Tomomi(左)
(2019/秋)
メリハリをつけて、子どもを引き付ける授業を(武川)
次の世代にも四国遍路に興味を持ってもらいたい(谷本)
子どもの心に残るように、ポイントを絞って伝える(石尾)
世界遺産登録を目指している四国遍路。若い世代にも四国遍路や寺の歴史などに対する興味を持ち理解してもらおうと、香川大学教育学部社会科研究室の2年生17人が高松市一宮町の四国霊場第83番札所?一宮寺で、地元の小学6年生120人に児童向けの授業を行いました。その時の様子や、参加して感じたことを、メンバーの谷本恵太さん、石尾友実さん、武川芽生さんに伺いました。
? お遍路体験
今回の活動は、県が2018年度から行っている「札所寺院調査普告会」の一環で、2019年度は香川大学と連携して実施しています。3人とも地元は香川ですが、四国遍路のことは授業で習った程度で、実際に行ったことがありませんでした。この話を聞いた時、教員を目指している3人は「社会の先生は、地域のことも教えていかなければならないので良い経験になるし、自分の勉強にもなる」と思い、四国遍路に詳しい県職員の講義を聞き、フィールドワークで一宮寺をはじめ、国分寺や白峯字、屋島寺などを歩きました。一宮寺から屋島寺までの遍路道を歩いて「途中まででしたが、想像以上に険しくてしんどかったですね」と谷本さん。四国遍路の厳しさを感じていました。
四国遍路の勉強をしていくうちに、武川さんは明るい面と暗い面があることを知り、児童にどこまで伝えればいいかと悩んだそうです。メンバーと話し合い、「興味を持ってもらうために自分たちが面白いと思うことを伝えよう」と決めました。
一宮寺見学授業 座学
一宮寺見学授業 ウォークラリー
授業は、児童に四国遍路の歴史や文化について解説する座学のグループと、一宮寺の境内でウォークラリーをするグループに分かれて実施。座学では四国全体で大きな巡礼地を作っていることや、若い人からお年寄りまで、性別や国籍は関係なくいろいろな人がお遍路をしていることを説明しました。担当の石尾さんは、児童に少しでも興味を持ってもらえるように、自主製作の映像を作りました。「私たちが今まで行った寺で撮影した映像を格好良く編集したものを見せながら説明しました」と、話します。
ウォークラリーでは本堂や納経所のほか、「地獄の釜」と言われる高さ1mほどの祠の前で、クイズを交えながら御朱印や納め札について説明しました。「クイズを出すと、子どもたちは積極的に参加してくれました」と武川さん。谷本さんはもう1人のメンバーと中務茂平の道標の前で、茂平の格好に扮して説明しました。児童に興味を持ってもらうために工夫したことが成功し、手応えを感じていました。
ような授業にしたい」。
授業を終えて、3人それぞれに感じた部分がありました。小学校教員を目指している武川さんは「説明だけだと子どもは集中力が続きません。自分が先生になった時はメリハリをつけて、子どもを引き付けられるような授業にしたい」。公務員も視野に入れている谷本さんは、「四国遍路の世界遺産登録へ向けての活動に参加するとともに、自分たちの次の世代、その次の世代へとつなげていきたい」。石尾さんは「県庁の方からいろいろな話を聞き学ぶところが多かったです。子どもに伝える時は、心に残るようにポイントを絞って伝えることが大切だと実感しました」。
今回の活動を通して、四国遍路や寺の魅力を改めて認識すると同時に、子どもたちへの教え方など学ぶことが多かった3人。来年度の活動は新2年生が引き継ぐ予定です。千年の時を超えて地域と共存し、継承されてきた日本の代表的文化遺産である四国遍路に、彼らのような若い人たちが興味や関心を持つことで、また次の世代に受け継がれていきます。世界遺産登録に向けて、香川大学の学生もその一躍を担っています。
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