文武両道!医学生と格闘家の両立

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     取材日2024年12月19日
?     Kadai SALON(会報第5号)
     切詰大貴さん
     (医学部医学科5年)
     

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『Kadai SALON(会報第5号)』の誌面に掲載しきれなかったインタビュー記事をご紹介します!

高校生まで空手をされていたそうですね
学校の部活動とは関係なく、親の勧めで空手を4歳から高校2年生まで続けていました。小学生の頃は週に6回、中高生の頃は週に3,4回ほど練習していましたね。数多くの流派が存在しますが、私が所属していた流派の全国大会では何度か優勝することもできました。

高校卒業後の進路について教えてください
高知県出身なのですが、県内の大学に進学して1人暮らしをしたいという思いがあり、親元から近い四国地方で、かつ県外という条件で香川大学を選びました。また、叔父がアメリカで医師をしているのですが、5歳くらいの時に名前入りの聴診器をプレゼントしてもらったり、中学生の頃に叔父が経営するクリニックを見学させてもらったりした影響もあって、医学部への進学を決意しました。

なぜキックボクシングを始めたのですか?
昔から格闘技を観戦することが好きで、今でもキックボクシングに限らず総合格闘技などもよく見ています。空手だけでなく、他の格闘技にも挑戦してみたいという気持ちが以前からありました。大学への入学を機に、実際にキックボクシングを始めることにしました。

キックボクシングはどのように始められましたか?
大学に入学後、自分でジムを探して直接先生に指導をお願いしました。そのジムは元々、子ども達を対象としたジムだったのですが、先生がプロの選手で活躍されていた方ということもあり、どうしても指導を受けたいと思ったので。電話でお願いしたところ、一度パーソナルトレーニングを受ける機会をいただき、その後も指導をいただけることになりました。

医学部の勉強とキックボクシングの練習の両立は大変ではないですか?
医学部2年生の頃は基礎医学の講義が始まり、とても大変な時期でした。実は2年生のときに留年しています。留年を経験したことをきっかけに、キックボクシングを勉強ができない理由にせず、どちらも力を入れて取り組む決意をしました。

医大での生活で印象に残っていることはありますか?
5,6年で行われる臨床実習に進むための試験が4年生の時に行われます。それに向けた勉強が非常に大変でした。キックボクシングの練習と試験勉強の両立に苦しみ、焦りを感じる日々でした。「勉強もしなきゃいけない、でもこの時間にはジムに行かなければいけない」というプレッシャーが大きなストレスでしたね。でもその状況を1ヶ月、2ヶ月と乗り越えることができたことは、自分にとって大きな成功体験となっています。

練習がお休みの日はどのように過ごされていますか?
格闘技の試合を今でも観戦していますね。あとは友達と出かけたり、家で一緒にご飯を食べたりして過ごしています。

練習はどのように取り組まれていますか?
週に3,4回ほどジムに通っています。また、週に2回は別のジムへ出稽古に行き、そこではスパークリングなどの練習をさせていただいています。
また、医学的なことではないですが、常に考えて練習するように心がけています。どうやったら強くなれるのか、自分に足りないところはどこで、その力を伸ばすにはどうしたら良いのか、などですね。あと、試合に向けては相手選手の映像を研究し、直前まで作戦を練っています。どういう攻撃が入りやすいのか、対戦相手の動きに対してどのような反応をしているのかといった点に着目しています。

これまでの試合について教えてください。
アマチュア時代には「K-1カレッジ」という大学生の大会で優勝しました。アマチュアとしての目標はそこだったので、次の目標は何にしようかなって思った時にプロになろうと。その後、さまざまな大会に出場し、2022年12月にプロデビューしました。
最近の試合ですと、2024年12月8日に行われたINNOVATIONという団体が主催する大会「RESISTANCE-18」で優勝し、チャンピオンになりました。今までで一番記憶に残る試合でした。

「RESISTANCE-18」に挑むときの心境はいかがでしたか?
もし負けてしまえば次のチャンスがいつになるか分からない大会です。他の選手もチャンピオンの座を目指しています。また、東京で開催されましたが、香川をはじめ各地から応援に来てくれるかたが沢山いたので、その期待に応えたい、絶対に勝たなければならないという思いでした。

目指している選手、憧れの選手はいますか?
武尊選手です。技術はもちろんですが気持ち戦っている点に憧れています。例えば、試合中に攻撃で脳が揺れると倒れますが、ボディへの攻撃は、強い痛みを伴っても気持ちが折れなければ耐えることができます。もちろん、格闘技では痛くて倒れるのが普通なのですが、武尊選手のように気持ちで戦う姿勢を自分も大切にしています。

今まで無敗という素晴らしい成績ですね
負けちゃいけない、負ける選択肢がないと思っています。
タイトルマッチの1ヶ月前から強い選手のところに出稽古に行ったのですが、そこで指導を受けていると知らない技術など、自分に足りない部分が露呈して、自分の弱さみたいなのを感じることもありました。しかし、焦りやプレッシャーなどによって、気持ちで負けることがないよう稽古に励みました。

試合前はどのように過ごされていますか?
試合前日に計量があるので、減量をしています。試合の1ヶ月半から2ヶ月くらい前に日程が決まることがあるので、それまではストレスと溜めないように比較的好きなものを食べるようにしています。普段の体重は70kgくらいですが、試合に向けて63.5kgまで減量する必要がるので、減量期間に入るとカロリーを大幅に減らし体重を記録します。停滞期には、食べるものを変えたり、チートデイを入れたりと工夫する必要がありますね。
計量後には体重をいくら増やしても良いので、うどんをよく食べます。

医師と格闘家の両立はどのように考えられていますか?
今はキックボクシングに打ち込んでいて、自分の中でも強くなり続けているという実感があります。時間の許す限りはできる限り上を目指していきたいと思っています。でも、例えば医師になってから忙しかったり、国家試験対策で忙しくなったりして、自分が今までより弱くなっているなと感じる瞬間が来たら、キックボクシングを続ける意味はないと思っています。
医師に関しては、まだ専門を決めていませんが、整形外科に興味があります。実際、自分が怪我をした時は、整形外科にかかることが多いです。
自分のようにスポーツのように怪我をして困っている人たちに真摯に寄り添って、助けていけるお医者さんになりたいなと思っています。そして、キックボクシングではINNOVATIONチャンピオンという肩書きを背負って、強い選手を戦っていき、チャンピオンベルトを獲りにいきます!

最後に香川の良いところを教えてください
どこに行くにも近くて過ごしやすい環境ですね。人も穏やかで、美味しいものもたくさんあるし生活に困らない。格闘家として今は自分にまだ足りないところがいっぱいあるので、出稽古に行って足りない部分を自分で見つけて補填していき、香川という地でもっと成長していきたいと思っています。